満足できる食べ方と調理法、楽しくできる散歩の習慣を身につける。
大部分の患者さんは、偏った食事、食べすぎ、運動不足、不規則な生活などから来る2型糖尿病です(1型は遺伝性疾患です)。糖尿病は、一言で言うと「インシュリンの作用不足」です。すなわち、インシュリン分泌量が少ないか、量は十分でも、受け手の細胞側の感受性が悪いかが、原因とされています。
このため、現在の治療は、インシュリン注射(補充療法)と、内服のインシュリン分泌促進薬、またはインシュリンに対する抵抗性改善薬が中心です。また、食後の極端な高血糖を、糖の吸収を遅くすることで改善する薬も使われてきています。
このとおり、薬による治療は、本来の原因である過食、運動不足などを解決するものではありません。あくまでも、対処療法です。
医学の教科書でも、治療法としては、「まずは、食事療法と、運動療法を行うこと」を挙げています。
過食の原因が、職場や家庭内でのストレスにある場合も多くあります。
当院では、まず、血液検査で、血糖値の状態を調べます。基本的には、はじめは薬の量は変えず、食事をよく噛んで食べ、講座と、散策を励行していただきます。もちろん、足の痛みなどがある場合は、運動があまりに長時間にならないよう、敷地内での軽い農作業などをしていただきます。
毎週、糖化ヘモグロビンおよび血糖値を測定します。インシュリン注射を行っている方は普段どおり自己血糖測定をし、記録していただきます。
普段運動をほとんどしない方でも、慣れてくると、多くの方が、1日に5−6kmほどの散歩を楽しまれるようになります。みどり豊かな国定公園を散歩するのは、楽しいものです。運動量の増加に伴い、数値は改善してきますので、それに従って、薬が減量できます。肥満気味の方は体重も減り、高血圧気味の方も血圧が改善します。
こうなってくると、体全体が楽に、軽くなってくる印象を味わうことができます。この心地よさを味わっていただければ、退院後の養生もうまくいく可能性が高くなります。
食事は、ほかの患者さんと同じものであり、単位数によるカロリー制限はいたしません。それでも、ほとんどの患者さんで、手足のしびれなどの自覚症状および検査値が改善します。(昨年の糖尿病患者さん3人は、全員著明に数値の改善および薬の減量ができました。)
管理栄養士による食事指導と調理実習は、退院後の生活にもきっと役立つでしょう。
ご自身に適した食事内容、食べ方、運動の程度などの養生法、および服薬、注射の量などを把握して頂ければ、退院して、自宅で養生をしていただくことになります。退院前には、退院後の生活のペースを考えながら、食事量、散歩の距離などを考えていきましょう。
ストレスが原因にある場合は、それを少なくするために、医師がご相談に応じます。 |