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食事から心(脳)を考える。

うつ、統合失調症などの精神疾患でも、「食事療法が大切だ」といえば、驚かれる方も多いのではないでしょうか。
それでも、「朝ごはんを食べる子供とそうでない子供の学力に差がある」 ことを御存知の方は多いと思います。
脳を作る材料、考えるエネルギーも食事が原料ですから、これは当然です。
そしてもちろん、食事を大切にする習慣、何があろうと忙しかろうと食事の時間はとる、この余裕も長い人生においては多大な影響をもたらすと考えられます。

食事内容と精神状態については近年研究が進んでいます。結果としては、砂糖のとりすぎは精神の不安定さを増し、高脂肪、高たんぱく食、ファストフードは認知症との関連が示唆されています。

食事と心、頭脳との関係について、いくつか卑近な例をお示しします。

脂肪の多い食事をたっぷりと取った後では眠くなり、集中力は落ちます。消化と吸収、代謝に多大なエネルギーを要するからです。高脂肪、高カロリー食を良くとる方はそうでない方に比べ作業効率が悪い可能性があります。長年のうちには仕事に影響が出るかもしれません。(昼食を軽くしたときと食べ過ぎたときの午後の仕事ぶりを御自身でお確かめください。)

ストレスを抱えると、甘いものが欲しくなります。自律神経のバランスで左右される私たちの体は、交感神経が優位(緊張状態)になると、リラックスさせてくれるもの(副交感神経を刺激するもの)を欲します。手っ取り早いのが食事です。特に甘いものはすばやく効きます。同時に急激に血糖値を上昇させ、その結果インスリンを急激に分泌させます。
この結果、やはり急激に血糖値は低下します。正常範囲を超えて下がりすぎることもあります。そうするとどうなるか。いらいらするわけです。「キレ」やすくなります。緊張、いらいらは血糖値を上げるからです。
これを繰り返すうち、食(砂糖)に過度に依存する精神状態と、糖尿病が完成していきます。
 
「飯を食う暇は常にある」(「太郎物語」 曽野綾子 著)
私の座右の銘です。自然の恵みを、大切に、よく味わっていただきたいものです。

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